「一年間、一生懸命に育ててきたのに、せっかく豊作になったライチが売れなくって、売れないから収穫したところで人件費すら回収できず、輸送業者は高額な運送費を請求してくるし、買い取り業者は容赦なく値切りで、結局生産側は赤字、消費者は高値で買わされるはめに。誰のための市場なのか…」果樹農家たちの声は深刻だ。
中国の官製メディアが声高に喧伝する「ライチの大豊作」と、実際の農家の暮らしは、まるで別世界だ。
中国最大のライチ産地、広東省茂名市では、収穫されたライチの買い取り価格が暴落し、多くの農家が出荷をあきらめ、豚の餌にするか、畑に捨てるしかないという窮状に追い込まれた。
SNS上には、「500グラムあたり1元(約20円)でも買い手がつかない」と果樹農家が苦悩を訴える動画が相次いで投稿された。
(産地の様子、広東省茂名市)
一方で都市部では、同じライチが500グラムあたり8〜16元(約160〜320円)で売られており、「なぜ産地で売れず、私たちは高く買わされるのか」と消費者の不満も爆発だ。

今年はライチに限らず、さくらんぼやドリアンといった(かつての)高級果物も例年より大幅に値を下げ、一部では半値以下となるケースも出ている。
背景には、配送コストの高騰や買い取り業者による過度な値下げ要求があるとされ、農家と消費者の双方が損をする一方で、中間業者だけが利益を得ているという市場構造の歪みが改めて浮き彫りになった。
(豚の餌になったライチ)
(捨てられるライチ)
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