鼻づまり、くしゃみ、慢性的な鼻の詰まりに悩んだことがある方なら、それが日常生活にどれほど影響を及ぼすかご存じでしょう。薬や生活習慣の改善も役立ちますが、指圧(ツボ刺激)は回復を促す補完的なアプローチとなり得ます。
鼻腔に影響を与える「鼻炎」は、アレルギーや非炎症性の原因から生じることがあります。アレルギー性鼻炎では、免疫系がアレルゲンに過剰反応し、ヒスタミンの放出と炎症が引き起こされます。西洋諸国では4人に1人がこの状態に悩まされており、その原因と対処法を理解することが非常に重要です。
多くの補助的な方法の中でも、中医学は「正営(せいいん/GB17)」というツボへの指圧が鼻づまりを和らげ、全体的な健康状態を改善する助けになるとしています。
古代の知識と現代科学の融合
正営は、最も古い鍼灸古典の一つである『鍼灸甲乙経』に記録されており、古くから認識されてきたツボです。歴史的には、頭痛、偏頭痛、めまいの治療に使われてきました。
ある資料では、正営は胆経上にあることから消化や胃の健康にも寄与するとされています。また、頭部に位置するため、頭部関連器官の不快感を和らげる役割も果たしています。
近年の研究では、胆経に沿った指圧や鍼治療の効果が支持されています。
ある研究では、胆経を中心とした「疏経マッサージ療法」と、一般的な睡眠薬であるエスタゾラムとの効果が比較されました。1か月後、両グループとも睡眠の改善が見られましたが、マッサージを受けたグループの方が、睡眠の質、効率、中断の少なさにおいて優れていました。マッサージ群の成功率は92.1%で、薬物群の84.2%を上回っており、指圧が脳機能とリラクゼーションに良い影響を与えることが示唆されています。
別の研究では、脳卒中によって脳損傷を受けた動物モデルに対する鍼治療の影響が検証されました。研究者は、鍼治療により神経障害と脳梗塞の大きさ(虚血性脳卒中の重症度と予後の重要指標)が軽減され、脳修復に関与する2つのタンパク質のレベルが上昇したことを発見しました。
これらの結果は、鍼治療が神経の回復を促すことを示しており、正営の刺激が認知機能のサポートにもなるというエビデンスをさらに補強しています。
正営の位置と刺激の方法
正営を探すには、まず正面を見たときの瞳孔の中心を確認します。そこから指4本分上に向かって髪の生え際に向かい、さらに頭の中心線から指3本分外側に移動した位置が「正営」です。その箇所を押したときに鈍い痛みや圧痛を感じたら、正しいツボに到達している証拠です。
正営への圧力刺激は、鼻づまりの緩和や頭部の血行改善に役立つ可能性があります。以下の簡単な方法を試してみてください:
- 直接圧法:ツボに対して3~5秒間しっかりと圧をかけ、その後3秒間リラックスします。これを片側1~3分間繰り返します。
- 円形マッサージ法:親指や人差し指で小さな円を描くように優しくマッサージします(片側1〜3分間)。刺激と快適さのバランスを見つけながら圧力を調整してください。
- 上級テクニック:より深い刺激を求める場合は、訓練を受けた中医師に相談し、鍼や灸(よもぎを使った温熱療法)を受けてください。灸を使用する際は、周囲の髪の毛が燃えないよう十分注意しましょう。
正営を避けるべき場合
指圧は一般的に安全ですが、刺激部位に怪我や開いた傷がある場合は、正営の刺激を避けてください。多少の違和感や痛みは正常であり、正しいポイントに到達しているサインです。
強い痛みを感じる場合は、気や血液の流れが滞っている可能性があります。数日間継続してこのツボを刺激し、体の変化を観察してみましょう。
自分の鼻腔の健康を守ろう
花粉症シーズンが近づく中、日常に指圧を取り入れることで鼻づまりの軽減が期待できます。「正営」を刺激したときの自分の体の反応に注目してみましょう。もし効果を感じたなら、同じように季節的な不快感に悩む人たちにも、この簡単かつ効果的なセルフケア法を共有してください。指圧のような自然療法は、日々の体調に大きな変化をもたらす可能性があります。
(翻訳編集 山本 拓)
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