防衛省統合幕僚監部は6月8日、中国海軍の空母「遼寧」を含む艦艇4隻が、東京都・南鳥島の南西約300キロの海域を航行しているのを、6月7日午後6時ごろに確認したと発表した。中国の空母がこの海域で活動するのは初めてであり、防衛省は警戒監視を強化している。

確認された中国艦艇は、クズネツォフ級空母「遼寧」(艦番号16)のほか、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(艦番号122)、レンハイ級ミサイル駆逐艦(艦番号104)、フユ級高速戦闘支援艦(艦番号901)の計4隻である。これらの艦艇は日本の排他的経済水域(EEZ)内を航行していた。さらに8日には、「遼寧」から艦載戦闘機やヘリコプターが発着艦する様子も確認された。
「遼寧」は5月25日から30日にかけても沖縄本島と宮古島の間を通過し、東シナ海や太平洋で艦載機の発着艦訓練を繰り返していた。今回の南鳥島周辺での活動は、これらの一連の動きの延長線上にあるとみられる。
南鳥島は日本の最東端に位置し、周辺海域は日本の排他的経済水域にあたる。中国の空母がこの海域に進出したのは初めてであり、防衛省は中国が遠方での作戦遂行能力を高めようとしていると分析している。中国は小笠原諸島からグアムに至る「第二列島線」を防衛ラインの一つと位置付けており、今回の活動はその範囲を越えたものとみられる。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第8護衛隊所属の護衛艦「はぐろ」(佐世保)により、警戒監視と情報収集を実施した。現時点で、中国艦艇による日本の主権や領海への直接的な侵害は確認されていない。

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