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中国発貨物便がイラン方面へ迂回 中東緊迫の中 波紋広がる

2025/06/17
更新: 2025/06/17

中国共産党国有企業が出資するルクセンブルクの航空会社カルゴルクス(Cargolux)社、その運航する貨物便が、中国からルクセンブルクへの定期ルートを外れ、イラン方面へ進路を取ったように見えるとして、SNS上では「北京とテヘランを結ぶ空の橋ではないか」との憶測が広がった。

問題となったのは、カルゴルクス航空インターナショナルによるCV9736便である。6月15日、中国・鄭州を出発し、目的地はルクセンブルクとされていた。しかし、フライト追跡サイト「Flightradar24」のデータによれば、同機はトルクメニスタン上空で突然イラン方向に進路を変更し、トランスポンダ(識別装置)をオフにした後、レーダー上から信号が確認できなくなった。トルクメニスタンはイランと国境を接し、テヘランの親密な同盟国と見なされる国である。

別の追跡サービス「FlightAware」のデータは、同機がルクセンブルクへ向かう前にトルクメンバシ空港に一時着陸した可能性を示し、また「AirNavRadar」でも、同機がトルクメニスタン領空を通過後、追跡不能となったことが記録されていた。

中共とイランが関与する秘密輸送作戦の一環ではないかというSNS上の憶測が高まる中、カルゴルクス社は当該機がイラン領空に進入したとの疑いを否定した。

同社は、これらの報道は公開フライト追跡プラットフォームの「不正確なデータ」に基づくと非難した。

声明では、「現在流れているカルゴルクス便に関する情報は、一般公開アプリのデータに基づいたものだ」と非難した。また、「当社のフライト追跡システムは、リアルタイムのデータを提供しており、いかなるフライトもイラン空域に進入していないことを確認している」と説明し、「これに反する主張は全く根拠がない。当社はすべての運航において最高水準の安全性と透明性を維持することに取り組んでいる」と付け加えた。

大紀元は、カーゴルックス社に対し、フライトCV9736の経路および経由地に関するさらなる説明を求めた。

カルゴルクス社は2014年、中国共産党(中共)政府系航空関連投資会社、河南民航発展投資有限公司(HNCA)から出資を受け、同社が株式の35%を取得した。この取引の一環として、カーゴルクス社はルクセンブルクに次ぐ第2の運航拠点を鄭州に設立した。

一方、中共とイラン政権との関係強化を示す報告は複数存在しており、一部の専門家は「中国・イラン・ロシアによる反米連携の軸」が強まりつつあると指摘した。

元CIA職員でイラン政策委員会元事務局長のクレア・ロペス氏は、2023年、大紀元に対し「その連携の一部は、中国のイラン産石油に対する経済的依存に関係している。中国は、イランやプーチンのロシアを含む反西側勢力の一翼を担っている」と語った。

一部の専門家は、イランが、中東での反西側代理勢力を支援する戦略が生じさせる影響に備え、中国に安全保障の保証を、長年求めてきたと指摘した。一方、他の専門家は、中共がアメリカを世界の覇権国から引きずり下ろすという長期目標を支持するため、イランを中東の不安定化要因として利用していると主張した。

米シンクタンク・安全で自由な社会センター(Center for a Secure Free Society)の事務局長ジョセフ・ヒューミア氏は、2024年に大紀元の「アメリカ思想リーダー」番組で、中共がイランのような国々と外交努力を行う背景には、特定の地域をアメリカにとって「住みにくい」環境にする意図があると述べた。

「中国とイランの関係は、多くの点で最も危険であり、外交面でより注目される中国とロシアの関係よりも深刻だと私は考えている」とヒューミア氏は語った。

今回のことは、中東情勢の緊張が、かつてなく高まる中で発生した。イスラエル軍は先週、イランの核施設や軍事目標に空爆を実施した。これに対し、イランはイスラエル各地へミサイルや無人機を多数発射した。

イスラエル軍は17日、イランからの攻撃に使用された地対地ミサイル発射装置120基を破壊し、「テヘラン上空における完全な航空優勢を確保した」と発表している。

イスラエルのネタニヤフ首相は、「ライジング・ライオン作戦」はイランの政権交代につながる可能性はあるが、それが作戦の目的ではないと述べた。

Foxニュースのインタビューで「我々は、核の脅威と弾道ミサイルの脅威という二つの実存的脅威を排除するという二重の目標を達成するために、必要なあらゆる手段を講じる準備ができている」と述べ、「この扇動的な政権から世界を守ろうとしている」と付け加えた。

イラン保健省によれば、13日以降、イラン国内では少なくとも224人が死亡し、その中には複数の上級軍幹部が含まれているという。

また、16日深夜から17日未明にかけて、イランはイスラエルのテルアビブやペタクチクワなどに向けて多数のミサイルを発射。アイアン・ドームを含むイスラエルの多層防空システムが迎撃に対応した。

夜明け前には、テルアビブで複数の爆発音が聞かれ、これは迎撃システムによって飛翔体が撃墜された際の衝撃とみられている。ペタクチクワではミサイルが住宅ビルに直撃し、窓ガラスが割れ、壁が損傷したが、現時点で死者は報告されていない。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。