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専門家が警告 中国が一帯一路で臓器収奪を海外に

2025/06/19
更新: 2025/06/19

医療倫理の専門家たちが14日に開かれた円卓会議で、中国共産党政権による法輪功学習者からの強制的な臓器収奪、いわゆる「臓器狩り」問題について、G7各国が懸念の声を上げ、具体的な対応を取るよう呼びかけた。

会議で発言した「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」欧州副代表のアンドレアス・ヴェーバー医師は、「中国で行われている臓器の強制収奪は、世界中で築かれてきた倫理的・利他的な臓器提供システムの根幹を脅かすものだ」と述べた。

ヴェーバー氏は、2006年以前からヨーロッパで移植医療に携わっていた経験を振り返り、次のように語った。

「当時、適合する臓器を見つけるだけでも非常に困難で、保存時間の制限も大きな課題だ。大規模な移植手術は非現実的であり、『殺して臓器を得る』といった発想は、我々の中には一切なかった」

「このような行為は極めて非人道的であり、医療界はその深刻さに向き合い、被害者の立場に立って共感と警戒心を高めるべきだ」

国際調査が指摘する「国家ぐるみの臓器収奪」

中国における生体臓器収奪の疑いは、2006年に初めて国際的に報じられ、その後、複数の独立調査が行われた。いずれも法輪功学習者を含む良心の囚人が、主要な臓器供給源とされてきた。

2016年6月には、米ワシントンD.C.で詳細な調査報告書『血まみれの臓器摘出/大虐殺:更新版(Bloody Harvest / The Slaughter: An Update)』が公表された。同報告書では、2000年以降、中国本土で約150万件の臓器移植が行われたと推定され、その大部分の供給元が法輪功学習者であると指摘された。

報告書の者は、カナダの元国務次官、故デービッド・キルガー氏、調査ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏、そして人権弁護士のデービッド・マタス氏である。

告書発表当時の記者会見で、三氏は「過去15年間にわたり、中国本土で実施された臓器移植手術は推計で150万件に上る。その主要な供給源は法輪功学習者であるとみられる」と述べた。

さらに2020年3月には、英国ロンドンの「中国臓器収奪に関する独立人民法廷」が最終判決を発表し、次のように結論づけた。

「中国国内では、長年にわたり国家関与のもとで大規模な臓器収奪が行われてきた。法輪功学習者はその主な供給源の一つであった可能性が高い」

法廷はまた、中国新疆ウイグル自治区における医療検査や人権侵害についても言及し、臓器移植との関連が疑われるとした。

臓器移植統計に「深刻な疑念」 

国際的に著名な人権弁護士デービッド・マタス氏は今回の会議でも、「中国の移植データについて、我々は確かな情報を把握している」と断言した。

中国の病院はかつて、移植件数などのデータを公式サイト上で公開していたが、後にその多くを削除しようとした。私たちは中共自身が公表していたそのデータをもとに、中国での年間移植件数が最大で10万件に達する可能性があると突き止めた」

「これは信じがたいほどの大規模な数字だ。しかも中国の臓器提供制度はほとんど機能しておらず、提供者数も極めて少ない。数字そのものが、極めて深刻な問題の存在を示している」

さらにマタス氏は、中国共産党が法輪功を迫害する根本的な理由について、法輪功が一般市民の間で広く愛好されていたことに対する恐れがあったと指摘した。

「中共は、法輪功を最大の問題、最優先の問題と見なしている。法輪功学習者は中国全土に広く存在している」

1999年に中共が法輪功への弾圧を開始する以前、中国公安部の内部統計では、法輪功学習者の数は7千万から1億人に達していたとされる。当時の共産党員数が6千万人余りだった。

中共は「法輪功を放置すれば共産党が消滅すると思い込んでいる」

こうした背景のもと、臓器収奪の対象として法輪功学習者が選ばれたとする見方が根強い。

米・加で相次ぐ関連法案

中共による生体臓器収奪と法輪功への迫害をやめさせるために、各国でも法整備の動きが進んでいる。アメリカでは2025年5月、下院で「法輪功保護法案」と「2025年臓器摘出阻止法案」がいずれも全会一致で可決された。両法案は現在、上院での審議・採決を待っている。

また、カナダでは2022年12月、全会一致で「臓器の違法摘出および売買防止法(S-223)」が成立。カナダ国民が海外で同意のない臓器を移植される行為を禁止した。

「一帯一路」経由で移植収奪を輸出 医師が訴え

DAFOH欧州副代表のアンドレアス・ヴェーバー医師は「国家主導による臓器収奪という犯罪に対し、国際社会が沈黙し、無関心でいるならば、倫理に基づいた自国の医療体制もやがて腐敗していくだろう」と警告した。

「その兆候はすでに現れている。中国が推進する『一帯一路』構想を通じて、医療分野でも影響が及び始めているのだ」

2025年5月、「法輪功迫害調査国際組織(追査国際)」は、「一帯一路における臓器収奪産業チェーン」についての調査報告書を発表した。同報告書では、中共が2013年に開始した「一帯一路」構想の一環として、移植医療を対象国へ輸出しようとする動きがあると指摘している。

とくに2016年以降中共国は「一帯一路国際臓器移植協力発展連盟」を立ち上げ、移植技術の提供、現地医師の研修、提携病院の設立などを通じて沿線国への影響力を拡大している。

同連盟は2019年、中国・昆明で開催された「第4回中国国際臓器提供大会」で、62か国の代表の合意のもとに設立された。

報告書は、「この枠組みの背後には、中国式の移植モデル――すなわち臓器収奪による供給体制――を国際社会へ輸出する狙いがあり、ひいては各国での臓器売買や犯罪組織の助長につながる危険がある」と警告している。

ウェーバー医師は、中共が早くから臓器保存技術の海外輸出を始めていた可能性があると指摘した。

同氏は「2015年に臓器移植の仕事に携わっていたとき、所属していたチームは、小型の腎臓保存装置を使っていた。大きさは卵より少し大きい程度で、ラグビーボールのような形のものだ。それを使えば腎臓の保存時間を延ばすことができる」と振り返った。

さらに、中国の外科医が同じ装置を肝臓移植に使っているという報告も見たことがあると付け加えた。

ウェーバー医師は、「国際社会が中国の臓器移植行為を厳格に監査し、独立した医療・人権専門家による監督を導入しなければ、『一帯一路』を通じて非倫理的な医療行為が我々の国に持ち込まれる恐れがある」と懸念を示した。

また、中共は信頼できないと強調している。

「中共は信頼できない」

「ヨーロッパやG7諸国との取引でも、数字やデータ、能力を誇張して私たちを『洗脳』し、『誤った方向に導こう』としている」と批判した。

「例えば、中国とイランの関係では、両国間で実際にどの程度の資金が動いているかは不透明だ。表面的にはレアアースの取引のように見えるが、実際には武器取引など別の目的がある可能性もある。全体が曖昧で、まるで霧に包まれているようだ」と述べた。

さらに、「G7諸国と『一帯一路』の関係を見ると、中国は自国の市場を閉鎖し、ヨーロッパ市場へのアクセスを制限しながら、我々の市場に全面的に参入しようとしている。この仕組みは医療分野での手法と本質的に同じだ」と指摘。「一言で言えば、中共は信頼し難い」と総括した。

マタス氏も、「『一帯一路』は、ある意味で国境を越えた抑圧と干渉のツールだ」と述べた。

「中共は国内で自国のNGOや市民を迫害し、海外のNGOや個人に対しても国境を越えた抑圧を行っている」

「その手段として、貿易を活用している。中共は基本的に、あらゆる対外的な関係――外国からの支援や援助を含め――を通じて、自らに批判的な声を封じ込めようとしている」と語った。

喬琦